12月3日~9日は障害者週間
市では、障害の有無にかかわらず、全ての人が共にささえあって生きる共生社会の実現に向けた取り組みを進めています。
養護老人ホームで働く障害のある青年に、仕事のやりがいや今の気持ちなどについて聞きました。周囲で青年をサポートする人たちの話、仕事に就くことを後押しする市の支援制度とともに紹介します。
■障害があっても働ける「できる」が自信につながる
◆佐藤 聖さん(23歳)(南区在住)
相模原養護老人ホームで働き始めて3年目。
撮影のためマスクを外してもらいましたが、恥ずかしそうでした。
取材に訪れた私たちを出迎えてくれた佐藤 聖さん(以降、聖さんと表記)は、思考を言葉にすることが苦手とのことで、事前に用意してくれたメモを見ながら、柔らかな笑顔でゆっくりと話し始めてくれた。
・最初はうまくできなくても少しずつ
聖さんの仕事は、老人ホームの利用者が清潔な環境で気持ちよく暮らせるようにすること。掃除用具を積んだワゴンを押し、清掃場所へ。洗面台等の水回りから玄関など、場所によって洗剤や道具を使い分け、スムーズに作業を進める。
最初からうまくできたわけではない。どの場面でどの洗剤を使うのか、どの道具を使うのか、支援員(後出:佐々木さん)と何度も練習しながら覚えた。
「(周りの人は)聞いたことをきちんと教えてくれるし、いろいろと助けてもらえて感謝しています」と話す聖さん。覚えにくいことはメモを取るなど、仕事に対して前向きな努力を今も続けている。
・働いた分だけできることが広がった
聖さんの趣味は、YouTube(R)で歴史動画を観みること。戦国武将が好きで織田信長の強いところに引かれるという。また、テーマパークや水族館などのショーを見に出掛けたり、旅行に行ったりすることが好きな活動的な面もある。「もらったお給料で、旅行やショーを見に行けるのはとても楽しいです」と話す。
▽ある日の就業スケジュール
午前9時 出勤
・トイレの掃除
・洗面所の掃除
正午~午後1時
・お昼休み
午後1時~
・床の掃除
・玄関の掃除
午後3時 退勤
・作業の始めは手袋の着用から
・背伸びをしながら鏡に汚れが残らないように拭き上げる
・アルコール消毒も欠かさずに
・最後は指差しで、やり残しがないかを念入りに確認
▽「お兄さん、いつもありがとう」の言葉がやりがいに
掃除の途中で利用者からねぎらいや感謝の声を掛けられることも。
そんなときは、手を止めて笑顔であいさつを交わす。
▽聖さんの必需品
ボールペン、はんこ、青いメモ帳を仕事のときはいつも持ち歩いている。メモ帳は新調したばかりで、古いものは壊れるまで使い込んでいた。
〔勤務先〕
◆いろんな人がいるのが普通
相模原養護老人ホーム施設長 藤井直樹さん
高齢者の施設なので、職員を採用するときは、高齢者と接することが多い環境に適応できるかどうかを重視しています。聖さんは、遅刻や早退、欠勤もなく、まじめに働いてくれています。また、彼の人柄もあって、利用者にとてもかわいがられています。
障害のある人に仕事がないというのはとても残念なことで、仕事をすることで一人前であること、社会の役に立っていることを実感してほしいです。いろんな人がいるのが普通。障害があっても、その人自身の強みを生かした仕事があるはずです。
〔勤務先〕
◆コミュニケーション方法の改善で働きやすい環境を作る
同ホーム業務課長 佐藤真貴子さん
初めに比べると全体の雰囲気に慣れてきたと思いますが、まだ私たちスタッフに声を掛けるタイミングがつかみにくいようです。例えば、掃除の備品が必要なときに事務所に来るのですが、スタッフが電話応対で忙しそうだと、話し掛けるタイミングが分からず、ずっと待ってしまうことがありました。そこで、スタッフが電話中でも、メモに書いて渡せばよいように作業を改善しました。
〔支援員〕
◆障害があっても目標を持って働いてほしい
市立障害者支援センター多機能型事業所 佐々木支援員
障害のある人が安心して長く働けるようにサポートするのが私の仕事です。将来に向けて一人暮らしがしたいなど、本人が希望する方向へ進んで行くための支援をしています。目標がなく働いていると張り合いがなくなってしまうのは、誰でも同じことだと思います。
安定して働き続けるためには、本人、勤務先、支援員の連携が重要なのは言うまでもなく、ご家族のフォローもとても大切です。本人の得意・不得意を見極めながら、目標を持って働ける環境づくりを心掛けています。
本人、家族、勤務先、支援員、みんなのチームワークが長く働き続けることにつながっていきます。
問い合わせ:高齢・障害者福祉課
電話042-707-7055、FAX042-759-4395
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