超高齢社会に暮らす私たち。「老老介護」「育児と介護を同時に」そんなケースに自分もいつか直面することになるかもしれません。今の自分にできること・必要なことを考えてみませんか。今回は「支える立場の介護」を特集します。
数字で見るさがみはらの介護「今」と「これから」
・新たに必要と見込まれる介護人材 4,900人
・高齢者人口の増加に伴い、介護サービスの利用も増加し、継続的な介護人材の確保が課題となっていきます。
私たちが生きていく未来はどんな社会に? 家族の介護を考える
「ある日突然、自分や家族が介護の必要な状態になったら?」「今すぐ準備できることはある?」
介護の疑問について、さまざまな立場の皆さんに話し合ってもらいました。
◆今話そう、私と介護
今回、介護について話してくれたのは、この3人
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・佐藤浩史さん40代
高齢者支援センターのスタッフとして、介護などのサポート全般を手掛ける。
・新井冬美さん40代
4児の母で、7年前から高次脳機能障害のある母の介護に向き合っている。現在は介護・子育て・仕事に奮闘中。
・田上詩織さん20代
市内の大学で作業療法学を専攻する大学4年生。来春からは専門知識を生かして社会人デビュー。
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▽新井さんの経験から ―介護のキーワードは『抱え込まない』
(新井さん)母が突然くも膜下出血で倒れ、急に介護が始まりました。当初は、今何をするべきなのか、誰に相談をしていいかも分からなかったです。今までの母とは違う言動に戸惑う自分もいて…。
(田上さん)学校の実習先で患者さんのケアを担当したときにも、支える家族は相談する場所や人を求めているんだなと感じました。
(新井さん)行き詰まっていた私に、ケアマネジャー(※1)さんが短期間の入所を提案してくれたことがありました。聞いたときは、「そこまで頼るほどではないかなぁ」と思ったのですが、その後の考え方を変えるきっかけになりました。母のことを全て自分で抱え込まずサポートしてもらうこともできるんだなって。気持ちにも余裕が生まれて、母との関係も良くなっていきました。
(佐藤さん)家族以外にも背中を押してくれる人がいる環境があることは大切だし、介護サービスをうまく使うという選択は、みんなが笑顔で暮らせる手段として、これからの時代に合っていますよね
▽自然に、もっと身近に『介護』と向き合える社会に
(田上さん)家族がみんな元気なので、「自分の家族の介護」って考えるとまだ現実味がないです。
(佐藤さん)家族が元気なうちからでも、生活に変化がないか気にかけることは大切です。あらかじめ家族同士で介護のことを話し合ってみるのも良いですね。
(新井さん)自分の経験上、いざ何か起こった時に、すぐに動けるように相談窓口(※2)の存在だけでも知っておくことも大切だと思いました。
(田上さん)将来、仕事を続けていきたいと思うのですが、不安もあります。新井さんが介護をしながら仕事・子育ても両立させていると聞いて、すごいなと思います。
(新井さん)家族は私が一人の時間を持てるよう、家事なども協力的で心強いです。仕事自体も、忙しいけど気持ちを切り換えることができて、良いメリハリになっています。あと、何事も抱え込まず周りの人に気楽に話をしてみるのが一番ですよ。
(田上さん)これからは当たり前に介護が身近になっていくと思うんです。私も来年から作業療法士として働く中で、介護を受ける人もその家族も、その人らしく生活できるようにサポートしていきたいです。
(佐藤さん)介護を経験した人や、介護が気になり始めた自分たちの年代が介護についてもっと声を出し合って、“介護”というテーマに身構えることが自然になくなるような社会になっていけばいいのかな。新井さんがそうだったように、いつか友人・知人が困ったときに「何をしたらいい」「こういうのがあるよ」と伝えて支え合う輪が広がっていってほしいと思います。
※1 ケアマネジャー(介護支援専門員):介護を必要とする人やその家族と連携して介護サービスの給付計画・調整を行う有資格者
※2 市では、介護に関する相談をはじめ、地域の高齢者が住み慣れた地域で暮らすための支援を行う高齢者支援センターを市内29カ所に設置しています。
問い合わせ:高齢政策課
電話042-769-8354
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