衛生研究所は、政令指定都市に設置義務がある機関です。本市では、平成12年に衛生試験所を設置し、平成27年に衛生研究所となりました。
感染症検査など、衛生研究所の役割についてお伝えします。
■衛生研究所とは?
●市民の健康を守る検査や調査・研究を実施
▽感染症から守る
感染症の発生予防や拡大を食い止めるための細菌・ウイルスなどの検査
▽生活環境を守る
飲料水や工場排水、公衆浴場の浴槽水などの検査
▽食品の安全安心を守る
食中毒の原因を明らかにする検査や市内に流通している食品の食品添加物、残留農薬などの検査
▽技術力を高める調査・研究
新しい技術や検査法の調査・研究
●感染症情報センターとしての役割
・収集した情報を解析して分かりやすく提供
・毎週木曜日に「感染症週報」を市ホームページに掲載
・月1回、気を付けるべき感染症や、予防のポイントなどについてまとめた情報を市ホームページに掲載
●検査を担うのは専門職。専門人材が市の技術力
化学の専門知識や、薬剤師、獣医師、臨床検査技師の資格を持つ専門職の市職員が検査を実施。技術力を維持するため、人材の育成から検査までの全てを市で運営。
■衛生研究所が実施する検査
●新型コロナウイルスなどの感染症(遺伝子)の検査
感染症遺伝子検査は次のような手順で実施しています。検体の汚染などを防ぐため、各工程ごとに専用の検査室に分かれて実施します。
▽準備
検査に必要な試薬を調製して専用の容器に入れておく。試薬にわずかな異物も混入させないよう細心の注意を払う。
・容器の穴はペンと比べるととても小さいね。一つひとつの穴に試薬を入れる細かい作業だよ。
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▽検体から遺伝子を取り出す
鼻からの拭い液や唾液から遺伝子だけを取り出す。検査員の感染を防ぐため、病原体が外部に漏れない構造の「安全キャビネット」内で作業する。
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▽特定の遺伝子を増やす
機械を使って特定の遺伝子を増やし、その量を計測する。パソコンの画面には遺伝子の量がグラフとして表示される。
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▽判定
特定の遺伝子が増えたら、陽性と判断する。
・ここまでで6時間くらいの作業。時間と手間のかかる工程だね。
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▽継続検査
新型コロナウイルスは、ゲノム解析(ウイルスの遺伝子情報などを読み解く)を実施。ウイルスの種類によっては1カ月ほど培養して、今後の調査研究に生かす。
●残留農薬の検査
6時間ほどかかる工程で食品から農薬を取り出して、機械で分析する。
・東京ドーム1杯分の水に、たった大さじ1杯の農薬が溶けていても測れる高性能な機械だよ。
●食中毒の検査
広報さがみはら掲載の写真は黄色ブドウ球菌の様子。目に見えない細菌を増やして、種類や病原性を検査する。
●得られたデータはどう活用される?
インフルエンザウイルスの場合は、収集したデータを国の機関などに提供。
翌年の流行予想に活用され、ワクチン製造に役立っています。
■迅速な検査は感染拡大防止に重要
市医師会会長 細田 稔さん
新型コロナウイルス感染症のパンデミックでは、私たち医療機関だけでなく、クラスター発生施設から多くの検体を迅速に検査し、感染拡大防止に重要な役割を果たしてくれました。
また、感染症情報センターとして、市内の感染症状況を収集・分析した情報を発信してくれているので、私たち医療関係者は感染症の動向を知ることができます。市民の皆さんも流行している感染症を知り、対策に取り組むため、衛生研究所が発信する情報に注意しましょう。
市民の皆さんの健康を守るため、健康危機への対応に必要不可欠な検査体制を引き続き確保します。
また、感染症の拡大防止には、一人ひとりの取り組みが大切です。正しい知識を持って予防しましょう。
問い合わせ:衛生研究所
電話042-769-8348
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