日本には、古くから伝わり、変わることなく大切に継承されてきた伝統芸能がたくさんあります。しかし、年々、保存や継承が難しくなってきています。伝統を未来に残すため、自分の住んでいる地域にどんな文化があるのか、知ることから始めてみませんか。
■相模原で活躍している人を紹介!
本市には、地域に根差した伝統を継承したり、伝統を守りつつも新しい楽しみ方を作り上げたりと、さまざまな形で伝統芸能を広めるために活動する人たちがいます。活動の姿や、それぞれの古典の楽しみ方を紹介します。
◆能楽
能楽師 松山隆雄さん
本市在住。国・重要無形文化財保持者(総合)、令和元年市政功労表彰受賞。13歳で能の名門梅若家に入門し、昭和46年に能楽師として独立。市内外で能の普及に尽力している
▽インタビュー
・大自然の懐に抱かれるような世界
初めて能楽堂で能を見たときは、とてもゆったりした場で、空気が澄んでいるように感じました。バランスの良い人の姿や、静かなたたずまいの美しさが能の良さだと思います。
・能を舞うことで呼吸や体幹も丈夫に
能は健康にも効果的です。ぶれない動きを学ぶことで、体の関節が柔らかくなり、呼吸も整います。松山能舞台では、舞台や親子で体験できる「すり足会」を開催しています。一緒に楽しみましょう。
※能楽とは
歌舞劇の「能」と「狂言」を合わせたもの。謡(声楽)と囃子(楽器演奏)を合わせて演じられる
◆邦楽
邦楽ユニット あさきゆめみし
設楽聡子さん(十七絃)、金子朋沐枝さん(尺八)、坪井智子さん(箏)
大学で出会い、本市出身の縁で結成。代表曲は『SAGAMI』
▽インタビュー
・西洋楽器とは違う独特な音の響きが魅力
和楽器は、自分で音を作り出す感覚が強く、微妙な音色でさまざまな表現ができます。楽譜は五線譜ではなく、指揮者もおらず、演奏者同士が間や呼吸を感じて演奏するところも面白いです。
・伝統に触れ豊かな交流を
伝統芸能は美しい姿勢や作法も学べ、他国の人に日本を紹介するときにも役立ちます。和楽器を聴くと、雅やかで奥が深い音色で、心に響くものがあると思います。気軽に触れて、身近な音楽として感じてほしいです。
■獅子舞
大島諏訪明神獅子舞保存会 中里邦男さん
昭和44年に初めて剣獅子を舞ったという中里さん。現在は拍子木での指揮唄を担当
▽インタビュー
・伝統を受け継ぐ激しい舞
初めての祭礼は、年代の違う人たちと一緒で、遅れないようにと必死に剣獅子を舞いました。伝統の舞は激しい反面、役によっては人をなぐさめるような部分もあります。厄を払うといわれる獅子頭などに触れ、大島の舞を体験してください。
※大島諏訪明神獅子舞とは
緑区大島地区で150年以上続くとされる獅子舞。県指定無形民俗文化財。剣獅子、巻獅子、雌獅子の3匹の獅子と音楽からなる勇壮な舞を、家内安全などを祈願して奉納する
問い合わせ:文化振興課
電話042-769-8202
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