障害のある人もない人も社会との関わり方はさまざま。本市でパラスポーツや支援に関わる人の思いを紹介します。
■共に挑む
◆パラ卓球日本代表コーチ 田中卓也さん
約20年前からパラ卓球の指導に関わり、東京2020大会でパラ卓球日本代表コーチを務めた。昨年本市に転入し、現在は相模原駅近くの卓球スタジオで、パラ卓球選手や子どもたちなどの指導をしている
▽いろいろな人がいるのが普通で当たり前
パラ卓球の指導を始めてからは、選手から諦めないことなどを教わり、困難に立ち向かう強さに感動しています。指導の中から、努力の仕方や時間の感覚が違うことが理解でき、自分の生活リズムを見直すきっかけにもなりました。
「共に生きる」という言葉自体は、「障がいのある方と一緒に」という意味に聞こえて、あまり好きではありません。障がいでの区別は必要なく、小さい子やお年寄りの方、障がいのある方、みんな同じように思いやりのある接し方が必要なだけ。配慮や手助けが必要な方に気付いたら温かく声を掛けていただけたらと思います。
■共に走る
◆マラソン伴走者 青山由佳さん
本市職員。東京2020大会・女子マラソン(視覚障害T12)で金メダルを取った道下美里選手の前半伴走を務めた
※伴走者は「きずな」と呼ばれるロープ(黄色のひも)を選手と共に持って走り、方向を伝えるなどの役割をする
▽お互いを知ろうと努力し続けることが大切
伴走者として活動してから、自分が良かれと思うことでも押し付けないことを学びました。視覚障害でも程度や見え方は人によってさまざまです。相手の特徴を知り、その方に合ったサポートをするように心掛けています。
自分の当たり前が、他の人の当たり前ではないこともあります。「共に生きる社会」には、お互いが知ろうと努力し続けることと、違いを認め合う気持ちが必要だと思います。
私は走ることを通じて、同じ夢や目標を持つこと、それに向かって共に取り組むことには、障害の有無は関係ないと実感しています。
■共に読む
◆市点訳赤十字奉仕団(※)委員長 西田紀子さん
視覚障害のある女性のため活躍した斎藤百合さんに関する本がきっかけで点訳を始め、同団に入団して30年。点訳した本は50冊以上
※点訳や点字学習支援などをする団体。広報さがみはらの点字版製作にも携わる
▽お互いに譲り合う心が大切
私が子どもの頃は、体調が悪い人の代わりに買い物に行くとか、おかずをお裾分けするなどが当たり前でした。今はちょっと手伝うと「ボランティア」といわれますが、特別なことはしていないし「やってあげている」という感覚もありません。
無理をしたら長くは続きません。障害者施設への訪問もしましたが、お茶を飲んだり、おしゃべりをしたり、楽しいことをしていただけ。
一方には必要なものが、他方には不便になることがあります。例えば、歩道の段差などは、視覚障害の人に必要でも、ベビーカーや車いすの人には不自由なように、全ての人が満足することはあり得ません。お互いに手を取り合い、補い合っていけたらと思います。
問い合わせ:高齢・障害者福祉課
電話042-707-7055
<この記事についてアンケートにご協力ください。>