■もっと能を楽しむイロハ
◆舞台 STAGE
能舞台は本舞台のほか、そこにつながる橋掛かり、面をかけた能楽師が舞台上で目印とする目付柱などでできています。
~ここに注目!~
▽橋掛かりはあの世とこの世をつなぐ道
本舞台から左に伸びる通路が、登場人物たちの入退場に使われる橋掛かり。能舞台には東西南北の設定があり、橋掛かりの先にある幕の方角に西があるとされているのだそう(※)。西には古くから死後の世界である極楽浄土があると言われていました。幽霊や神・もののけなどの登場人物は、まさに「西方浄土」から来て・帰っていくのです。
※各流儀(能の流派)によって異なります。
▽シンプルな舞台だからこその工夫が光る!
橋掛かりに植えられている三本の松は、一ノ松が一番大きく、三ノ松が一番小さくなっています。これは、限られた舞台装置で奥行きを表すための工夫です。橋掛かりを渡るときも、右側通行で行きは客席寄り、帰りは奥寄りにすることで、遠近感を出しています。
▽舞台正面の松には神が宿る!?
松は冬も緑を保つことから不老長寿にも通じ、本舞台正面奥の鏡板の松は神が降臨する松の木を表しているという説も。あの世・浄土からやってきて鏡板の松に宿った神の前で、能は演じられているのです。
◆配役 CAST
能に登場する役柄には、それぞれ名前があります。
・シテ…主役。幽霊や神、もののけなどが多い
・ワキ…シテの相手役。脇役ではない。旅する僧侶、主役の敵など生者が多い
・ツレ…シテの連れ。助演。相手役であるワキの連れは「ワキツレ」と呼ぶ など
~ここに注目!~
▽「後見」は舞台を支える重要なポジション!
小道具を出したり、シテの着替えを手伝ったり、舞台上で能楽師を助ける人物が後見。曲の中には登場しませんが、能が円滑に進むよう舞台の進行管理や、もしものときにはシテやワキの代役を務める重要な役割があります。
・舞台上で演目が進行する間、舞台袖では後見をはじめ数人がかりでシテの着付けが進む
◆音楽 MUSIC
能の音楽は声楽の「謡」と器楽の「囃子」で構成されています。
・謡…登場人物の心情や風景描写、ナレーションなどを独特のリズムと抑揚でうたい上げる。地謡の中には「地頭」と呼ばれる人がいて、地謡全体のパートリーダー的役割を務める。
・囃子…太鼓、大鼓、小鼓、笛(能管)の4つの楽器(四拍子)があり、「囃子方」と呼ばれる人たちが演奏。囃子全体のパートリーダーは太鼓(太鼓がない場合は大鼓)が務める。
~ここに注目!~
▽謡も囃子も阿吽の呼吸で成り立っている!
能の音楽には指揮者がおらず、お互いの呼吸や間合いを感じながら演奏します。シテや地頭がその場で決める調律や緩急の変化に、全員が息を合わせて曲が奏でられるのです。
・曲によっては太鼓のないものもあるが、基本的にこの4種で演奏する
参考:『能楽入門(1) 初めての能・狂言』(小学館)、『マンガでわかる能・狂言』(誠文堂新光社)、『脳の働き能の動き』(松山隆雄後援会、能楽普及推進会)ほか
■相模原で能を楽しもう
◆能楽資料館
所在地:南区相模大野2-17-7
松山先生の自宅に併設された能舞台とさまざまな能面を一般公開。解説も付いており、第一線で活躍する能楽師に能について直接話が聞けるのもこの場所ならではの楽しみ方です。
・公演やラジオなど活動の詳細は、広報さがみはら掲載のQRコードから
▽能教室・気体運動教室
能に関する解説と併せて、実際に舞台で歩くなど能の動きを体験できる教室も開催。複数回の教室参加で市内などで開催される公演への招待と能舞台の体験付き。見るだけでない能の楽しさを体験しませんか。
・「自分の呼吸を自分の体感で」能の動きを元に、体幹をトレーニング
※日時は応相談。1回1時間程度、複数人同時受講可
会場:能楽資料館
内容:すり足などの動きや能面に触れる体験、仕舞を全3回で予定
費用:1回2,000円
申し込み:電話かファクスで能楽資料館へ
電話・FAX042-748-2822
※詳しくはお問い合わせください。
◆そのほかの伝統芸能イベント
▽さがみはら若手落語家選手権
観客の投票で本選出場者が決まる落語の選手権大会。笑いと熱気を生で体感しませんか。
日時:午後2時~5時
予選会 1月16日(土)・31日(日)、2月14日(日)・27日(土)
本選会 3月14日(日)
会場:杜のホールはしもと
※費用など詳しくは、市民文化財団ホームページをご覧になるか、お問い合わせください。
ゲスト:真打・立川志遊さん
申し込み:電話でチケットMoveへ
電話042-742-9999
※チケットムーヴ.netホームページからも購入できます。
問い合わせ:
文化振興課 電話042-769-8202
市民文化財団 電話042-749-2200
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