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サガミハラに進路を取れ~経営者に聞くミライ目線~(1)

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神奈川県相模原市 クリエイティブ・コモンズ

新年に当たり、相模原に進路を取った企業に、「ビジネスの視点から見た相模原市」についてインタビュー。企業経営者から見た相模原の魅力とは。コロナ禍という逆境で描く未来への展望とは。

■しなやかに逞しく挑戦を続ける
プライムデリカ株式会社(南区麻溝台)
代表取締役社長 齊藤正義さん

大手コンビニエンスストア向けに、惣菜やサラダ、スイーツなどを製造するプライムデリカ株式会社。昭和61年(1986年)に厚木市で創業したが、平成13年(2001年)に本市南区に新社屋・工場を建設し、本社機能を厚木から本市へ移転。現在、北関東から九州まで12の生産拠点を展開している。順風満帆のようだが、課題がなかったわけではない。強さの秘訣は、目の前の問題を正面から見据え、新たなチャレンジで克服していく逞しさにあった。

▽十分な供給を叶えるため相模原へ
1990年代、県内にセブン-イレブンの店舗が増えて、厚木工場だけでは受注に応えられなくなり、新工場をつくる計画が動き出しました。
工場では大勢のパートさんが必要です。相模原は人口が多く、人材確保が容易なことは大きな魅力でした。それに、十分な生産設備を展開できる土地があり、すでに圏央道が通ることも分かっていたので、物流面の将来性がありました。これらが決め手になり、相模原への移転を決断しました。その後も事業を拡大し、平成29年(2017年)には、市のSTEP50[1](さがみはら産業集積促進方策)を活用して、第2工場の操業を開始しました。

▽働きやすい職場はコミュニケーションと人を大切にする心から
私は平成24年(2012年)に社長に就任しました。ある時、視察に来た取引先から「こんなに挨拶のない工場はここだけだ」と指摘され、愕然としました。それ以来、私から率先してパートさんに挨拶するようにしました。これからも継続していきます。
企業の基本は人ですから、従業員を大切にしたいと考えています。全国に工場があるので、転勤などは希望を重視します。また、最近では新型コロナウイルス感染症対策として、通勤用バスや食堂での感染防止策のほか、抵抗力を高めると言われている乳酸菌飲料を毎日全員に配っていて好評です。

▽雇用をめぐる時代の変化の中で
相模原工場の開設時は、求人を出すとすぐに数百人の応募がありましたが、今は雇用環境が厳しくなり、以前のようには集まりません。そこで、相模原の2工場では多くの外国人を採用しています。外国人技能実習生と語学留学生です。彼らが地域になじめるよう、清掃活動や地域の事業に参加してもらうようにしています。
それから、市の補助金を活用して、ロボットの導入による「人材不足の解消」にも取り組んでいます。今進めているのは、プリン製造の自動化。容器にプリン液を充填するところから、さまざまな工程を経て商品として完成するまで、従来15人程度必要だったところを5人で担うことが可能になります。これは、単なる省人化・効率化にとどまらず、商品の品質向上や、新鮮さをより長く保たせる改良などを同時に目指した取り組みです。

▽これからも挑戦は続く
近頃は甚大な自然災害が多く、野菜の安定供給が課題です。対策として平成30年(2018年)からベジタブルプラント(野菜工場)の運用を始めました。3種類のリーフレタスを栽培していて、1日に250kg生産していますが、本来の生産能力からするとまだまだ少ないです。
各店舗に運ぶ商品の仕分けシステムの自動化も研究していますが、こちらの完成度はまだ3割ほど。チャレンジはまだ途上です。こうした取り組みは容易に達成できるものではありませんが、他ではできないような、「新しくて良いこと」にチャレンジしていきたいと考えています。

■ウレタンのように柔軟に
相模カラーフォーム工業株式会社(中央区上溝)
代表取締役 甲斐全吉さん

昭和45年(1970年)創業、50年を超える歴史を持つ相模カラーフォーム工業株式会社は、主に自動車向けのウレタンフォーム製品を加工・販売してきた。思いがけないことから4代目になった甲斐社長が商品開発を大改革。長年培ってきたウレタンの加工技術を生かして、個人消費者向けにある製品を作ったのだ。今や新型コロナウイルス感染症予防の必需品となったマスク関連の、「ある製品」とは。

▽ただの取引先から突然社長に
14年前になりますが、私は練馬で建築資材の加工会社に勤めていました。独立を考え始めた矢先、取引先だったこの会社の3代目から「会社を畳もうと思っている」という相談を受け、事業を引き継いで4代目に就任することを決めました。
この相模原は、東名高速や中央道、圏央道といった高速道路がいずれも近く、利便性が高いと感じています。

▽加工業が生き残るための挑戦
就任後、取り扱い製品を自動車向けから、少しずつもともと扱っていた建築用材料の加工にシフトし、耐久性や不燃性に優れた製品の加工・販売をしながら、オリジナル製品の開発に取り組みました。自社開発は大変でも、加工業がきちんと収益を上げていくために必要と考えたからです。マスクに付けて使用する「くびにかけるくん」(以降、かけるくん)もその一つです。

▽マスク着用時の耳の痛みを解消するアイデアが受けて大ヒット
インフルエンザ予防や花粉症対策として開発した製品で、市のトライアル発注[2]認定製品にも認定されました。売れ行きは順調でしたが、新型コロナ予防でマスク需要が高まったため、マスコミで紹介され、一気に販売が伸びました。
増加する発注に対応するため、市の支援を受けて生産工程の一部にロボットを導入する予定です。現在、かけるくんのパック詰め作業を障害者施設にお願いしているのですが、ロボットを導入したら、その担当として障害のある人の雇用を考えています。

▽これからも地域に根付いて
かけるくんの売れ行きは、しばらく好調かもしれません。ですが常に新しい製品を開発していきたいです。若い人にあの会社で働きたいと思ってもらえるような、相模原の人に貢献できるような会社にしていきたいと考えています。

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