市域の6割を占める広大な森林は、このまちのシンボルの一つ。
恵まれた自然資源と私たちの暮らしのつながりや、誇りを持ちその保全・継承に携わる人々の声を紹介します。
◆わたしたちの森を知ろう
~水を守る森、森を守る人~
・55% 県内の飲み水の半分以上を供給
・1万9千ha 市域の6割を占める広大な森林
・72人/484人 林業従事者数は県内最多
~市内の森林が私たちの暮らしを支えています~
・神奈川の水がめとして
相模・城山・宮ヶ瀬の3つのダムで、県内上水道への供給の半分以上を賄っています。森林は天然のろ過装置として働き、山に降った雨水をきれいにして川へ送ります。私たちの生活に欠かせない水は、森林によって守られているのです。
・強い土壌を作る
森林には、雨水を蓄え、川に流れ込む水の量を調整する機能があります。災害に強い土壌を作るためにも、丈夫な森を育てていくことが欠かせません。令和元年東日本台風では、市も大きな被害に遭い、森林の適切な整備が重要視されています。大規模な自然災害の発生が増える中、これまで以上に災害に強い森林づくりを推し進めています。
・きれいな空気を作る
県内で2番目の広さを誇る広大な森林は、二酸化炭素を減らし、地球温暖化対策に重要な役割を果たしています。
・木材としての活用
市内で育った木々は「さがみはら津久井産材」というブランド木材として流通し、高い評価を受けています。暮らしに潤いを与えてくれる木材の温かみは、今後も活用の場を広げる可能性を秘めています。
◆Interview1 森を守り、つくる人
相馬造林 齊藤理沙さん
麻布大学で野生動物学を学ぶ。森林ボランティアなどで森に入るうちに津久井の自然を守りたいと思い、林業の道へ
▽環境と暮らしのサイクルを守る
県の水源林や、個人所有の山で、暮らしに使う木材を育てる人工林の整備をしています。木を切ると言うと環境に良くないイメージを持つ人もいるかもしれませんが、私たちの仕事は、間伐をすることで森に光を届け、木々の成長だけでなく、他の動植物の生育など、森林の生態系を保つための役割も担っています。自然の保全と暮らしで利用するための整備の両立は大変なことですが、そのバランスを取るのが林業の面白い部分だと感じています。
▽木材の地産地消を目指したい
現在、国内で使われている木材ののうち、国産の木材は3割。7割は輸入に頼っています。発展途上国での森林破壊、移送にかかる大量の化石燃料の消費など、木材の輸入にはさまざまな環境問題が関係しているため、可能な限り国内で木材を自給自足できるように森を育てていくことが大切です。いま、私が関わることができるのは森を育てる過程の一部分。森林の循環を活性化していくためにも、長く一貫した森づくりへの関わり方を増やしていけたらなと思っています。
◆Interview2. 木材を生かす人
相模原木材センター 栗林一郎さん
40年以上にわたり木材の流通に携わる。豊富な経験から、市内の木材や造林に関する幅広い交流、知識を持つ
▽近隣地域の木材にも引けをとらない
「さがみはら津久井産材」
市内の人工林は、樹齢60~70年近い木が多く、その強度などは近県の木材に引けを取らない品質を誇ります。県産材は数年前まで認知度が低かったのですが、近年普及が進み、新築戸建て住宅にも積極的に使用されるようになりました。
▽木材の利用の場が増えることは、森林の好循環へつながる
今、県内に限らず多くの地域で、伐採期を迎えても採算などの理由で切ることができない森林や、適切な間伐ができず必要な日光が当たらない森林などが増え、森林の荒廃が叫ばれています。
樹木は伐採しても、植林すれば再生産できる貴重な資源で、このサイクルを保つことで、地域の活性化だけでなく、地球温暖化対策にも貢献できます。さがみはら津久井産材も、伐採と植林を繰り返しながら適切な森林環境を保てるように、今後市内の住宅や公共建築に限らず、暮らしの中のさまざまな用途で活用されるようになればと願っています。森林・もの・ひとの関わりを活性化することで、地域の自然資源を生かしたまちづくりは、より広がっていくと思います。
◆市の森林を守る取り組み
市では、森林の将来像などを示した「さがみはら森林ビジョン」を定め、さがみはら津久井産材を「知って」「使って」「身近になる」よう、さまざまな取り組みを進めています。
・SDGsにも貢献
森林の保全や活用は、さまざまなSDGsのゴールにつながります。
▽さがみはら津久井産材利用促進・普及啓発事業補助金
公共性の高い民間建築物の木造化・木質化に係る経費の一部、さがみはら津久井産材を使用した住宅で構造見学会などを実施する場合の経費の一部を補助しています。
▽さがみはら林業の人材育成・担い手の確保事業補助金
林業をするために必要な資格取得費、林業機械購入費、安全装備購入費などの一部を補助しています。
▽さがみはら森林ビジョンが目指す循環
→林業で生計を立てる人が森の手入れをする
↑ ↓
↑手入れをされた森林は空気と水をきれいにする
↑ ↓
↑←間引いた木材を利用する
※申し込み方法など詳しくは市ホームページをご覧ください。
◆さがみはら津久井産材の活用例
・選手村ビレッジプラザ(2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会選手村)
全国63自治体が約4万本の木材を提供し、建設された選手村。本市は約180本の津久井産のスギを提供しています。世界的に注目される舞台で使用されることは、優れた木材資源を国内外にPRする絶好の機会です。
・駅舎
・木造住宅
・ほかにもさまざまなシーン
家具・積み木は、地域の大切な森の間伐材を有効に活用。森林を整備する資金の支援として木製SDGsバッジ(750円)が役立っています。
これらの雑貨は、環境情報センター、西門第三図工室(相模原市中央区)で取り扱っています
問い合わせ:津久井地域経済課
電話042-780-1401
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