『青のワルツ』は、平成28年に起きた青根小学校の火災の3カ月後に子どもたちを励ますために作られました。人々の思いが込められたこの曲は、音楽が結ぶ温かな“縁”や、青根の“いま”を象徴しています。
「青のワルツ」
僕の好きな色、それは青い色
リンドウの花に ほほを寄せてみた
笑っているような 泣いているような
さわやかな風に 青が光るよ
輝く青は どこから来るの
優しい森の その奥から
青に包まれて 愛に包まれて
僕らは育つよ 青根の村で
●歌に、楽器に、形を変えて受け継がれる思い
青根小学校は、県内最古で唯一の木造校舎でしたが、火災により校舎が焼失しました。来年3月で146年の歴史に幕を下ろすことになりましたが、長く愛された校舎を形として残したいという人々の思いは、地域を越えてつながり、焼け残った木材の一部が、優しい音色を響かせる「コカリナ」に生まれ変わりました。
「音が優しいから、大好き!」と元気にコカリナについて話す子どもたち。青根への思いを込め制作した『青のワルツ』の歌詞にも、地域や小学校に寄せる思いがあふれています。青根に暮らす人々の優しさや、育んできた絆・思いは、形が変わっても、かに響く音色とともに、いつまでも受け継がれていくでしょう。
・コカリナ
ハンガリーの民族楽器である木製のオカリナをもとに、日本独自の改良を加えた楽器。心安らぐ優しい音色と、初心者でも吹ける気軽さが魅力。歴史を刻んできた多くの木々が生まれ変わったことから、「復活の笛」ともいわれる。
●青根でつながる人々の思い
◆青根に吹く風
『青のワルツ』のメロディーは、初めて青根を訪れたときの、むせ返るほどの山の青さから感じた、「爽やかで明るい新緑や風のようなイメージ」から生まれました。曲に合わせて子どもたちが乗せてくれた素直な言葉には、自然や周囲の愛情を受けて真っすぐに育っていることや、青根に抱いている誇りが表れています。
青根は日本の原風景や人々のつながりを感じる場所です。コカリナの音色や演奏を通して、青根の素晴らしさがたくさんの人に広がってほしいと思います。
▽コカリナ奏者 黒坂黒太郎さん
コカリナの生みの親であり、『青のワルツ』の作曲者。コカリナの製作や演奏会などの支援活動を行う。
◆青根にそそぐ愛
青根小校舎の火災で悲しむ声を聞き、近くにいる自分たちに何ができるか悩みました。その折にコカリナがさまざまな人との縁を運んでくれたことで、楽器の寄贈が実現しました。火災から3年たった今年の5月に、青根小の子どもたちや全国の愛好家と一緒に、『青のワルツ』を演奏しました。その時に感じた地域の皆さんの青根を愛し盛り立てようとするエネルギー、子どもたちを地域で育てようという強い思いは、今でも心に残っています。これからも、子どもたちの笑顔とともに、歌声や笛の音色が、青根ににぎやかに響き続けることを夢見ています。
▽青根コカリナアンサンブル 山梨さんご夫妻、白輪地さん
青根小の児童にコカリナを寄贈。このことをきっかけに、以後、道志川合唱祭にも参加。緑区でコカリナの演奏や普及に努めている。
◆青根を彩る景色
合唱祭の誕生からこれまで、一緒に歌い続けてきました。今年の合唱祭では、恒例の『遙かな友に』のほかに『青根音頭』という22番まである大作の一部を披露します。青根の良いところを集めた明るい曲で、みんなを元気付けたいと選びました。
青根の自然の中で歌うと、緑が声をはね返してくれるような心地良さを感じます。合唱祭が続く限り歌い続けていきたいと思いますので、ぜひ合唱祭で自然と歌の融合を味わっていただけたらと思います。
▽やまびこ合唱団 井上さん、永井さん、太田さん、加藤さん
第一回合唱祭からトップバッターを務める、青根生まれの合唱団。代表の加藤さんは、コスモスを植える活動にも参加。合唱祭に花を添えている。
●まだまだある 五感で感じる青根の魅力
道志川が流れる青根は、県内でも貴重な水源地域です。行楽シーズンには川遊びやキャンプなどを楽しみに、多くの人々が訪れます。のどかな風景や温泉、星空、音楽など、四季折々たくさんの魅力が青根にはあります。道志川でのアユ釣り、露天風呂が楽しめる「いやしの湯」や9月から11月ごろに旬を迎えるリンゴ園など、自然に触れながら、さまざまな楽しみを感じてみませんか。
◆色彩を楽しむ
▽コスモス園
青根を多くの人に知ってほしいという願いを込めて、東野地区の休耕地を利用して約5万本のコスモスを栽培しています。
開園日:10月6日(日)~25日(金)
※最終日にはコスモスの摘み取りができます。
・コスモス祭り
日時:10月19日(土)・20日(日)
青根地粉うどんや地域特産品を販売します。
◆味覚を楽しむ
▽道志川合唱祭地域物産展
日時:9月29日(日)
道志川合唱祭の会場では、青根の自治会や津久井、藤野観光協会が地域の特産品などを販売します。地場野菜のほか、ゆずやブルーベリーを使った製品、地粉を使ったかけうどん、窯焼きピザなどが楽しめます。
問い合わせ:津久井まちづくりセンター
電話042-780-1403
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