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広報さがみはら 令和2年10月15日号

いろんな形 家族の形「里親制度」を知ろう

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神奈川県相模原市 クリエイティブ・コモンズ

《10月は里親月間》
さまざまな事情で親と暮らすことができない子どもに、家庭という居場所を届ける「里親制度」。実の親子ではないけれど、長い時間をかけて信頼関係を築いた、温かな家族の笑顔がここにあります。

■里親制度とは
児童福祉法に基づき、保護者と一緒に生活できない18歳までの子どもを里親家庭に迎え入れ、里親が愛情と理解を持って養育する公的制度

《Interview》
■形を変えながらもつながり続けた私たち家族のかたち
里親 前田誠一さん
里子 小林千紘さん
里親の前田誠一さんと一緒に取材を受けてくれた小林千紘さんは5歳の時、2歳年下の妹と一緒に前田さん夫婦に里子として引き取られました。現在は、1歳半になる愛娘とともに前田家で暮らしています。

前田誠一さん「里親と里子も人と人。すべてが順調にいくわけではないから、力を抜いて接します」
小林千紘さん「安心して頼れる存在がいるって、すごく大事なんだなって。大人になった今、父との絆を強く感じます」

▽きっかけは1本の新聞記事
前田:結婚後、なかなか子宝に恵まれず、そんな時にたまたま目にした新聞記事がきっかけで里親制度を知り、夫婦で相談して登録しました。
幼い姉妹を里子に迎えないかとの話があった時、2人も育てられるかと迷いもありましたが、夫婦でよく話し合って受け入れることにしました。

小林:最初に2人(前田夫妻)に会った時のことは、正直覚えていませんが(笑)、お誕生日に手作りのからあげでお祝いしてくれたことがうれしくて記憶に残っています。当時、絵日記をつけていたのですが、毎日、晩ごはんの絵ばかり描いていましたね(笑)。

▽大人になる過程で深まっていった、姉妹と前田さんとの関係性
小林:小さい頃には、反抗期の妹に付き合って2人で家出し、自動販売機の横で寒さをしのいだ冬の夜もありました。
でも、そんな妹も今では子どもを連れてここ(前田家)に泊まりに来ます。父と私たち姉妹とでお酒を飲むこともしょっちゅうあって、周りの人からも仲が良いねと言われます。

前田:「家出事件」の後、別々に暮らした期間もありましたが、週末には食事やカラオケに行ったり、夏休みなどの長期休暇にはわが家で1週間ほど過ごしたり。
長期委託から短期里親(「あなたも里親になりませんか?」内「里親活動の種類」の記事を参照)と形は変わりましたが、ずっとつながりを持ち続けてきました。
里親と里子の関係において、みんながみんな順調に運ぶわけではありませんし、人と人だから、うまくいかないこともあります。でも、子どもに幸せになってほしいと願う気持ちはいつもありました。次女が結婚するときに、「一緒にバージンロードを歩いてほしい」と言ってくれたのが、うれしくて心に残っていますね。

小林:感受性が豊か過ぎた10代の頃は「家族なんていらない」と突っぱねるようなところもあったかもしれませんが、一緒に過ごす時間を通して、徐々に絆のようなものが育まれたんじゃないかと思います。
大きな相談事があるときも、自然と父母を頼りにしていました。高校3年生で進路に悩んでいたとき、父が学校の資料をたくさん探して用意してくれて…。結局その学校には行かなかったんですけど(笑)。

前田:子どもは、自分の親から教えてもらった社会しか分からないもの。まだ見ぬ世界や可能性を子どもに提供してあげることは、大人の役割と考えています。その上で何を選ぶかは、本人次第ですけどね。

▽里親としての経験を経て、いま
前田:里親になる前、当時勤めていた会社の同僚に「子どもがいる人生も一つの人生だし、子どものいない人生も一つの人生。両方はできないんだから」と言われたことがあります。でも、自分の場合はその両方を経験できて良かったという気持ちです。里子たちと向き合うことで教えられる部分がたくさんあって、私自身の世界も広がっていきました。

小林:以前は「お父さん」と呼んでいましたが、娘がうまれてからは「じいじ」。本人は「前じい」と呼ばせようとしていますが(笑)。この子が熱を出して、私が仕事を休めないときはじいじが面倒を見てくれることもあるんですよ。

前田:この外出自粛期間に歩けるようになったんですよ。小さな子どもの成長に立ち会えたのは、この上なくうれしかったですね。

▽「里親制度に興味はあるけど踏み切れない」「うまくやっていけるか不安」、そんな人には、さまざまな制度を利用してほしい
前田:自分に里親が務まるのか、最初は不安に思うでしょう。でも、子どもと過ごす時間が少しでもあると、一緒に暮らしてみたいという気持ちが膨らむんじゃないでしょうか。まずは施設で子どもと触れ合うという体験もできます。
また、里親として壁にぶつかったときには、里親同士の横のつながりが励みになります。何かあったとき、周囲や子どもへのケアと、里親へのケアを続けてくれる環境があることが、里親制度の普及に必要なことだと感じています。私自身も里親同士が互いに助け合う「さがみの里親会」でサポートに長く取り組んでいました。

小林:里子の立場から言うと、自立した後でも、相談できる大人がいてくれるというのは、とてもありがたいことです。実父ではないけれど、本当の父です。父に出会えて、本当に良かったと思っています。
・愛らしい「孫娘」に目を細める前田さん。とても幸せそうだ。

問い合わせ:児童相談所
電話042-730-3500

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